大震法見直しについて

20161212

 

将来的に南海トラフで大規模地震が発生するのはまず間違いないですが、それがどのようなものになるか(時間差をおいて複数発生するのか・全域が同時に壊れるのか、事前に前触れ的な異常が発生するのか・前触れなしに発生するのか、等)、ということに関しては、少なくとも現状、何ら確定的なことは言えません。

 

しかし、最近の地震学・測地学の知見から、スロースリップ(地震波を励起しないほどのゆっくり断層すべり)が大規模地震の引き金となりうるといったことがわかってきつつあります。一方で、地震の複雑性・多様性についても明らかとなってきており、発生前に前触れ的な変化を示す地震は一部あるが、前触れなしに発生する地震も多くあるという見方が地震学者の間で一般的となっています。地震予知情報に基づく警戒宣言が規定されている大規模地震対策特別措置法(大震法)についても(対象はいわゆる東海地震)、科学的裏付けが脆弱ということで、地震学会内で数年前から議論が(少しだけ)活発化しています。

 

ところで、南海トラフの大規模地震については、過去の発生履歴が比較的よくわかっており(あくまで、他地域と比べた相対的なものですが。。)、過去には時間差をおいて東南海地震と南海地震が「連動」した事例があります。

 

以上のようなことを背景とし、中央防災会議下の「防災対策推進検討会議」において、社会的影響の大きさを踏まえ、大震法の見直しという位置づけで「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討WG」が設置され、検討が行われています。(議事録を含め、資料は公開されています。)

http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taio_wg/taio_wg.html

 

このたび、大震法の見直しに関連し、日本地震学会のニュースレターの募集に応じる形で意見記事を書きました。日本地震学会のニュースレター第69巻第NL5号(2017年1月)に掲載されているので、よろしければご覧ください。

日本地震学会ニュースレターページ

 

 

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